保安林内の行為に関する許可について
保安林制度の意義
保安林制度は、水源のかん養、災害の防備、生活環境の保全・形成、その他公共の目的を達成するために、特定の森林を保安林として指定し、その森林の保全とその森林における適切な施業を確保することによって森林の持つ保安機能を維持増進するための制度です。
保安林制度の体系
保安林制度は以下の3つで構成されています。
(1)保安林の指定・解除
指定
公益的機能の発揮が特に必要な森林について農林水産大臣または知事が指定します。
保安林指定についての価値判断は、受益対象との関係において相対的になされます。
解除
次の理由に該当する場合、保安林の指定を解除できます。
- 保安林の指定の理由が消滅したとき
- 保安林の指定目的に優先する公益上の理由により必要が生じたとき
(2)行為制限と優遇措置
行為制限(違反した場合は処分・罰則の対象となります)
- 立木の伐採<許可・届出>
- 土地の形質変更等の規制<許可>
- 伐採跡地への植栽の義務
優遇措置
- 固定資産税、不動産取得税、特別土地保有税は課税されません。
- また、相続税、贈与税は指定の内容に応じて評価の際に一定の控除がなされます。
- 伐採の制限に伴う損失についての補償が受けられます。
- 一定の条件を満たしている場合には,森林の維持に必要な資金を低利に借りることができます。
(3)保安林の機能強化
- 保安施設事業の実施(公共事業として森林の整備等の実施)
- 特定保安林の指定および整備
保安林指定地の確認方法
地番全体が保安林に指定されている場合、登記簿謄・抄本の地目は「保安林」となっており、法務局で確認することができます。
しかし、一部指定の場合など、保安林に指定されていても地目が「保安林」となっていない場合もあります。
保安林指定地の確認は、県庁森林整備課又は各地方振興事務所でも確認することができます。
保安林の行為制限に係る手続き

様式集
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関係法令等
保安林における制限
森林法第34条第1項
保安林においては、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければ、立木を伐採してはならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
- 一 法令又はこれに基づく処分により伐採の義務のある者がその履行として伐採する場合
- 一の二 間伐のための立木の伐採をする場合
- 二 森林所有者等が第49条第1項の許可(森林施業に関する測量又は実地調査を行うための市町村長の許可)を受けて立木の伐採をする場合
- 三 第188条第2項の規定(都道府県職員等の立入調査等)に基づいて伐採する場合
- 四 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合
- 五 除伐する場合
- 六 その他省令で定める場合
森林法第34条第2項
保安林においては、都道府県知事の許可を受けなければ、立竹を伐採し、立木を損傷し、家畜を放牧し、下草、落葉若しくは落枝を採取し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
- 一 法令又はこれに基づく処分によりこれらの行為をする義務のある者がその履行としてする場合
- 二 森林所有者等が第49条第1項の許可(森林施業に関する測量又は実地調査を行うための市町村長の許可)を受けてする場合
- 三 第188条第2項の規定(都道府県職員等の立入調査等)に基づいてする場合
- 四 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合
- 五 軽易な行為であって省令で定めるものをする場合
- 六 その他省令で定める場合
立木の伐採の許可を要しない場合
森林法施行規則第60条の1
森林法第34条第1項第6号の省令で定める場合は、次のとおりとする。
- 一 国又は都道府県が法第41条の保安施設事業、砂防法第1条の砂防工事又は地すべり等防止法により地すべり防止工事若しくはぼた山崩壊防止工事を実施するため立木を伐採する場合
- 二 法令又はこれに基づく処分により測量、実地調査又は施設の保守の支障となる立木を伐採する場合
- 三 倒木又は枯死木を伐採する場合
- 四 こうぞ、みつまたその他農林水産大臣が定めるかん木を伐採する場合
- 五 法第34条第2項の規定による許可を受けて、当該保安林の機能に代替する機能を有する施設を設置し、又は当該施設を改良するため、あらかじめ都道府県知事に届け出たところに従って立木を伐採する場合
- 六 樹木又は林業種苗に損害を与える害虫、菌類及びバイラスであって都道府県知事が指定するものを駆除し、又はそのまん延を防止するため、あらかじめ都道府県知事に届け出たところに従って立木を伐採する場合
- 七 林産物の搬出その他森林施業に必要な設備を設置するため、あらかじめ都道府県知事に届け出たところに従って立木を伐採する場合
- 八 その土地の占有者及びその立木の所有者の同意を得て土地収用法(昭和26年法律第219号)第3条各号に掲げる事業のために必要な測量又は実地調査を行なう場合において、その支障となる立木を除去するため、あらかじめ都道府県知事に届け出たところに従って立木を伐採する場合
- 九 道路、鉄道、電線その他これらに準ずる設備又は住宅、学校その他の建築物の建物に対し、著しく被害を与え、若しくは与えるおそれがあり、又は当該設備若しくは建築物の用途を著しく妨げている立木を緊急に除去するため、あらかじめ都道府県知事に届け出たところに従って立木を伐採する場合
- 十 国有林を管理する国の機関があらかじめ都道府県知事と協議するところに従い当該国有林の立木を伐採する場合
立竹の伐採等の許可を要しない場合
森林法施行規則第63条の1
森林法第34条第2項第六号の省令で定める場合は、次のとおりとする。
- 一 国又は都道府県が保安施設事業、砂防法第1条の砂防工事又は地すべり等防止法による地すべり防止工事若しくはぼた山崩壊防止工事を実施するためする場合
- 二 法令又はこれに基づく処分により測量、実地調査又は施設の保守のためする場合
- 三 自家の生活の用に充てるため、あらかじめ都道府県知事に届け出たところに従って下草、落葉又は落枝を採取する場合
- 四 学術研究の目的に供するため、あらかじめ都道府県知事に届け出たところに従って下草、落葉又は落枝を採取する場合
- 五 国有林を管理する国の機関があらかじめ都道府県知事と協議するところに従い当該国有林の区域内においてする場合