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宮城県が14年度に公共用水域中の環境ホルモンについて行った調査結果の概要は、次のとおりです。
環境ホルモン対策については、環境省において「環境ホルモン戦略計画SPEED'98(平成12年11月改正)」を策定し、全国一斉調査の実施や調査研究の推進などを図っておりますが、宮城県では国の対策と連携し必要な対策を遅滞なく実施するために、県内の主な河川、湖沼及び海域における環境汚染状況及びアルキルフェノール類の詳細調査を実施しました。また、有機スズ汚染が原因とされるインポセックス(巻貝類の雌に雄の生殖器官が形成されて発達する現象)の発現の有無を平成11年度に引続き調査しました。
平成14年11月
計15地点
水質
環境ホルモン作用を有すると疑われる化学物質(26物質)及び関連物質(3物質)
合計29物質
調査対象物質29物質のうち次の6物質が検出された。
物質名 | 検出地点数 | 最大値(μg/L) | |
---|---|---|---|
1 | ノニルフェノール | 8/15 | 0.80 |
2 | ビスフェノールA | 4/15 | 0.019 |
3 | 2,4-ジクロロフェノール | 2/15 | 0.015 |
4 | フタル酸ジエチル | 8/15 | 0.062 |
5 | フタル酸ジ-2-エチルヘキシル | 11/15 | 0.084 |
物質名 | 検出地点数 | 最大値(μg/L) | |
---|---|---|---|
1 | 17-β-エストラジオール | 15/15 | 0.00068 |
検出された濃度は、宮城県でこれまでに調査した結果と同レベルでした。
平成14年11月25日午前及び午後各1回
(1)吉田川
(2)増田川
水質
環境ホルモン作用を有すると疑われる化学物質(26物質)及び関連物質(3物質)
合計29物質
吉田川では、全ての地点でアルキルフェノール類は、検出されませんでした。増田川では、ノニルフェノールが舟橋及び柚の木橋から最大で0.08μg/L検出されました。この濃度は、環境省が魚類への作用影響が無いと考えられる濃度として提示している予測無影響濃度0.608μg/Lを下回っていました。
物質名 | 吉田川(上流) | 吉田川(中流) | 吉田川(下流) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
龍釣橋 | 悟渓寺橋 | 二子屋橋 | ||||
平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | |
11時03分 | 14時10分 | 10時40分 | 13時45分 | 9時51分 | 13時10分 | |
4-t-ブチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-nーペンチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-nーヘキシルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-nーヘプチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-tーオクチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-nーオクチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
ノニルフェノール | <0.002 | <0.002 | <0.002 | <0.002 | <0.002 | <0.002 |
物質名 | 増田川(上流) | 増田川(中流) | 増田川(下流) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
河原前橋 | 舟橋 | 柚の木橋 | ||||
平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | 平成14年11月25日 | |
11時30分 | 14時45分 | 10時41分 | 14時15分 | 10時17分 | 13時55分 | |
4-t-ブチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-nーペンチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-nーヘキシルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-nーヘプチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-tーオクチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
4-nーオクチルフェノール | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 | <0.001 |
ノニルフェノール | <0.002 | <0.002 | <0.002 | 0.08 | 0.04 | 0.03 |
平成14年6月
松島湾8地点、女川湾4地点、気仙沼湾7地点計19地点
イボニシ、チヂミボラ、レイシガイ
平成11年度の調査に引続き、インポセックスを発現した個体が依然高頻度で発見されましたが、外洋に面した地点でイボニシの正常な雌の個体が確認されたほか、チヂミボラやレイシガイでは、インポセックスの発現率に若干の減少が確認されました。
個体毎の発現率は次のとおりです。
平成14年度 | 平成11年度 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
検査個体数 | 発現個体数 | 発現率 | 検査個体数 | 発現個体数 | 発現率 | |
イボニシ | 150 | 146 | 97% | 84 | 84 | 100% |
チヂミボラ | 40 | 24 | 60% | 76 | 61 | 80.3% |
レイシガイ | 30 | 27 | 90% | 84 | 84 | 100% |
環境省では、「環境ホルモン戦略計画SPEED’98」掲載の内分泌攪乱作用が疑われる物質について、平成12年度からのミレニアムプロジェクトにより、優先順位の高いものから、順次、有害性評価を行っている。この評価の中でこれまでに,ノニルフェノール及び4-オクチルフェノールが雄のメダカの精巣に卵を形成する内分泌攪乱作用を有することが確認されている。また、この中で環境省は魚類への作用影響が無いと考えられる濃度(予測無影響濃度)としてノニルフェノール0.608μg/L、4-オクチルフェノール0.992μg/Lを提示している。
巻貝類の雌に雄の生殖器官(ペニスや輸精管)が形成されて発達する現象を表す造語。有機スズ化合物が原因物質といわれており、雌のイボニシにインポセックスを誘発した濃度は、0.001μg/Lと報告されている。(独立行政法人国立環境研究所、堀口主任研究員他)
トリブチルスズやトリフェニルスズなどを指し、船底防汚剤等に用いられた。日本では、有機スズ化合物が海洋生物に与える悪影響等を早期に認識し、1992年から国内造船所での完全使用自粛、1997年から国内の塗料工場での製造中止等、船舶用塗料に係る規制を自主的に推進してきた。しかし、未規制国の船舶の寄港による汚染などの問題から、「船舶についての有害な防汚方法の管理に関する国際条約」が採択されるなど、国際的な規制が進んでいる。
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